クリエイティブとディストリビューションとその未来と

 今日は次メ研に中京テレビの方が来て地方放送局のお話だった。うん、非常に面白かった。その内容とはあんまり(ぜんぜんか?)関係ないけど、以下、考えたことをちょっとだけ。

 基本的にコンテンツビジネスというのは、?クリエイティブと?ディストリビューションだと思っている。クリエイティブというのはどうやっていいものを作るか、タイムシフトやネット流通に耐えられるようないいものをどうやって作るかというような視点(今日そればっかりやってたなあ)。そしてディストリビューションというのはどうやってそれをお金に変えるか、どうやって市場を広げていくかというような視点。

 いうまでもなくテレビ局っていうのはディストリビューションに対して頭を持っていない。電波に乗せたら勝手にディストリビューションしてくれちゃうもんだから。いろいろいまやってはいるみたいだけれど、モノを考える必要がなかったからセンスがない(※註)。音楽なんかと比べちゃうとやはりそこは歴然。

 しかしこれから多メディア化やらなんやらの影響受けて、まじめにディストリビューションというものを考えていかなきゃならないだろう。戦略的に構築していかなきゃならないだろう。そして地方局も、多メディア化、県域免許、集中排除原則の緩和なんかの影響を受けて、財務的な面だけじゃなくて「ディストリビューションシステムとしての」キー局から少しづつ離れ(ざるをなって)ていく中で、考えなきゃいけないころだろう。

(ここでクリエイティブは心配ないよね、日本の映像系クリエイティブの中核だよね、とかいう前提での議論をしたいんだけれど、あるあるの件とか見てるとおいおい本当に大丈夫かよー…という気になってくる。少なくともそこだけはしっかりしておいてくれよ…)

 で、このときにポイントはいくつもあるんだけどそこは省略。

 しかしアレなんだよな、ネット(でのディストリビューション)がいかに現地点としてペイしないからっていって、当然中長期的には構築していかなきゃならない。さっき音楽との対比でっていったけれど、音楽は例のナップスターショックを受けて、どうにかしなきゃならないと頭を使った。その結果として(ここはいろいろ論じたいところもあるんだけれど)iTunesという「ペイするネットを戦略的に構築した」。ビヨンドザナップスター

 で、映像となるとまだその段階にもいってない。最近ようやくナップスターショックとしてのYouTubeが出てきたけど、それを受けてそのうち(なんとなく2年後くらいか?)iTunesとしての映像版「ペイするネットを」戦略的に構築するんだろう。いや、するんだろう。ビヨンドザナップスターを。いや、ビヨンドザユーチューブを。

(映像が遅れた理由としては?そもそもナップスター時点では伝送網が映像を流すにはつらかった?上記のようにディストリビューションに対する戦略的思考が弱かった、とか適当に論じられるんだけれど、まあどうでもいいや。いちおう?は「日本では」と付言しておいたほうがいいのかもね。)

 そしてその主体がキー局なのか、吉本やどっかなのか、それとも地方局なのか、はたまたアップルなのか?ソニーなのか?笑。それはまだわからない。だれにもわからない。


 で。最後にもう一歩だけいってみよう。そういう流れの中で、つまりナップスターiTunes、イコール「崩壊→再構築」っていう流れをやっていく(きた)中で、音楽業界ってのは「再構築してコンテンツを縛ってるだけじゃつまんないよね。むしろ自由(コモンズ、っていう言葉を使いたくなる)にしたほうがすごいんじゃない?」っていうことをようやく「頭じゃなく体で」わかってきた。それが再構築を果たしたアップルから出てきたというのはおもしろい。それは彼らが最も「体で」わかるプロセスを経てきたっていうこともあるんだろう。「崩壊→再構築」の先に「未来」があるのか。それもわからない。まだだれにもわからない。けれど。けれどもだよ。

 っていうと、映像もあと10年くらいの先にはそうなるのかねえ。ここであえて映像のひとたちにいうのならば、その「未来」を作っていくための「体」での勉強をいまやっておきなさいよ、ということだ。つまり、ここ5年くらいはある程度投資期間と割り切っちゃってもいいから、がんばってビジネスモデル=iTUnesを作ってみなさいよ、と。作ろうとしてみなさいよ、と。それが10年後〜に生き残っていくためのもしかしたら唯一のパスなのかもしれないよ、と。

 うーん、このくらいにしておこう。あれが終わってない。ていうかだれか俺にじっくり喋らせてくれ。ネタはけっこうなんでもいいぜよ。


※註:。これは新聞も、って言いたくなるんだけれど、まあ置いておこう。でもしいて新聞社さんにコンサルを求められたとしたら、「今もってる販売網(販売店拡張員配達員のことね)のこともうちょっと中長期的に戦略的に考えたほうがいいよ」というだろうなあ。坪田先生「関係を戦略的に再構築する」ときにひとつのキードライバーというかメイン要素のひとつになってくるのは、彼らかもしれないよ、と。これは言いたいこといっぱいあるのでこんど論じよう。智也(弟)…

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