OstromとWilliamsonがノーベル経済学賞!!
池田先生も早速書かれていた通り、今年のノーベル経済学賞(スウェーデン銀行賞)はインディアナのElinor OstromとバークレイのOliver E. Williamsonに決まりました。Williamsonのほうは順当という意見がほとんどだと思いますが、個人的にはOstromの受賞がとても嬉しいです。初めての女性ノーベル経済学賞になるんですね。
- Elinor Ostrom http://en.wikipedia.org/wiki/Elinor_Ostrom
- Oliver E. Williamson http://en.wikipedia.org/wiki/Oliver_E._Williamson
Ostromは本職の経済学者ではないけれど、いわゆるコモンズの理論については確かに他に受賞にあたる人が思いつきません。強いて言えばベンクラーかもですけれど、経済学への距離&知名度でいうとやはり難しいか。チロル等もこの方面に本気出していれば取れたかもしれないけど、彼はやはり別の業績でもらうべきでしょう。以下、手元にあった比較的一般向けの最近のOstromの仕事。
- とりあえずぜひこの機会に"Understanding Knowledge as a Commons"を読みましょう。彼は元々入会地などの実証研究で有名ですが、これは知識・情報をコモンズとして取り扱うことに関するとても有用な論文集です。イントロはPDFでダウンロードできますね。 http://mitpress.mit.edu/catalog/item/default.asp?ttype=2&tid=11012
- それから最近ですとラッセルシリーズの"Trust and Reciprocity"第二論文、行動理論の統合に向けて書かれた論文も必読です。 http://www.russellsage.org/publications/books/0-87154-647-7
この受賞を見て、ノーベル経済学賞はそろそろノーベル社会科学賞やノーベル行動科学賞などに名前を変えてもいいのではないかと思いました。いわゆる社会科学として経済学の完成度が突出している一方、様々な行動科学との融合にしか経済学の次の道は見出せない中、果たして「経済学」という区切りに今後どの程度の意味が残り続けるのだろう。
いずれにしてもこれを契機にどんどん邦訳されるといいなー。知る限りオシュトロームはまだ邦訳が一つも無いので。もっともっと日本でも幅広く読まれるべき人だと思います。
#あ、それから絶版になってるウィリアムソンの『市場と企業組織』も復刊してください。。。
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